出会ってすぐに意気投合した相手が既婚者だと分かった瞬間の気持ちの落ちようは、どう表現すればいいものか。
それは、途轍もなく切ないものである。
そしてその相手と一線を越えるとなれば、切なさは倍増する。
ここまで進めてきた私が悪いのか、ただの火遊びと考える相手が悪いのか、どちらにせよ両方に非があると見るのが世間一般の不倫に対する意見だろう。
既婚者はあんたの事など遊びでしか思っていない、あんたは相手の家庭へ何も罪悪感がないのかと。
両方が関係を求めていて、お互い口を塞ぎ通せば良い話だと思ってしまう私には善悪の区別というものがないのだろうか。
不倫を全否定する気は毛頭にない。
しかし切なさが付き纏うのは分かりきった事だ。
相手を知れば知るほど、自分の物にしたくなる。
自然な感情が不倫の場では通用しない。
相手を欲してはいけない。
欲した瞬間、それは非難を覚悟した悪意の不倫へと変わる。
不倫だと分かった時には、その相手との関係が実に曖昧なものであり、純粋な恋愛には決してなれないと信じきらなければならない。
曖昧なのだ、自分の感情は。
私は彼を欲しているが、手に入らない、手に入れたくはない、そう自分の感情をコントロールする。
自分の感情をコントロールしてまで相手を愛したいのか。
そう出来なければ不倫は出来ない、なぜなら誰かを傷つける可能性が潜んでいるからだ。
だから関係を持つ前に自身に問いただす。
「曖昧な気持ちでいられるか、覚悟は出来ているのか」と。